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管理職の残業代

「名ばかり店長」で有名になった管理職の残業代未払い問題は、管理職という言葉で残業しても残業代を未払いとしたことが問題でしたが、ほるぷや、マクドナルド事件に対する司法判断で、労働基準法制定後70年間もあやふやだった管理職の残業代未払い問題がやっと確立され、労務に付経営者と一体的な立場にある者以外の管理職には残業代を支払うことが確定しました。

残業代を支払わない方便として名ばかりの管理職としているのであれば本末転倒で労働基準監督署または、ADR、合同ユニオン、労働審判、会社としては全管理職に3年分、裁判に惹起されるとその倍額の賃金未払いという大きなリスクを負うことになりました。また、臨検になると全社員の未払いが指摘されることがあり、この場合は全社員の未払いを積算し支給額を支払ったという領収書を提出するという大変な作業と未払い賃金の支給が支持されることがあります。

会社は会社を背負う管理職の賃金未払いは、会社の指揮に大きな打撃を受けるに留まらず、取引先の信用も欠落します。直ちに就業規則と賃金規定の改定を行い、名ばかり管理職制度は改善しましょう。この管理職の判断について労働基準法第41条二の「事業の種類にかかわらず監督もしくは管理の地位にある者」は通常の労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しないとしています。この紛らわしい「監督もしくは管理」とはどのような職位にある者をいうかについて、行政解釈と判例は次のように明示しており、今までの課長・部長は管理職であるから役職手当を支払えば残業手当を支払わないで良いという考え方は見直す必要があります。

行政の解釈

「監督もしくは管理の地位にある者」とは一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について、「経営者と一体的な立場にある者の意」であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。

判例について

「労働者が労働条件の決定について経営者と一体的な立場にあり、自己の勤務について自由裁量権を有し、出退勤について厳格な制限を受けない地位にあるか否か問う具体的な勤務実態に即して決すべきもの」としている、この行政解釈、および判例によると労働基準法第41条二で残業代の支払いを免除される労働者とは労働者の労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場で事業運営上の判断ができる地位にあり、かつ、出退勤について自己判断ができる者となりますので、監督官もこの判例と行政解釈を基に監督することになりました。

中小企業では専務(名ばかりは否定)または労務担当常務(労働者役員は否定)とかの地位にあり労務に関して経営者と一体的な立場で勤務時間が規制されない人を指し、それ以外の作業グループを纏め役としての管理職には時間外手当を支給する対象者となりました。

この理解でいうと部長とか課長とかも残業代を支払わないと賃金未払いとして監督官から是正勧告が交付(是正勧告の4割が賃金未払い)される可能性があります。この対策としては、役職手当と残業代をどのように調整するかですが、短絡的には現在の役職手当を減額して残業手当を支払うことになりますが、それには従来の労働時間の正確な把握を基に役職の責任部分と時間外手当と該当者以下の役職手当とのバランス調整が必要となります。

更に、会社を支える管理職の賃金問題は慎重に進めることが必要で、労働時間管理に合わせて就業規則と賃金規定の変更と、就業規則の職位・職責について客観的な名称を用いることが必要で、名称が不明確だとさらに賃金未払い罰則の対象となる可能性があります。

働き方改革の問題解決は社員専門家だと旧習にとらわれ「会社の常識が非常識」になることがありその道の外部専門家の知恵を利用することをお勧めします。

SRBC鵜沢事務所は法令順守の立場から役職者についても24時間何処からでもスマホによる勤怠申告で、1分単位の労働時間管理を行う勤怠システムで賃金計算を行うことを提案しています。

裁判判例に合わせ日進月歩で変わる労働法制への対応は、ついつい前例にとらわれ「会社の常識は非常識」の自己流になる傾向があり、会社に常識を改善するには提案しにくい状況の中で、これの改善には第三者の専門家の目で監視を求めることが肝要で、労務顧問として「社内の常識は非常識」にならないよう、これを契機に徒労の多い労務事務を一括アウトソーシングで業務の効率化と活性化をご提案いたしております。

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